大会長挨拶

リハビリテーション連携科学学会第27回大会
大会長 大森圭貢

 このたび、リハビリテーション連携科学学会第27回大会を、2026年2月28日(土)から3月1日(日)に開催させていただくことになりました。このような機会を与えていただきました理事長をはじめ、役員、会員の皆様に感謝申し上げます。開催するにあたり、ご挨拶申し上げます。

 1990年代のヒトゲノム解読を契機に、個々の遺伝的背景に応じた「パーソナライズド・メディシン」の概念が広まりました。その後、ゲノム活動が生涯を通じて行動や環境によっても調節されることが明らかとなり、近年は「プレシジョン・メディシン」という新たな考え方へと発展しています。これは、一律の医療を提供するのではなく、対象者ごとのリスクや反応を予測し、最適なタイミング・場所・方法で介入することを目指すものです。

 本大会のテーマである「未来を拓くプレシジョン・リハビリテーションの実践」は、この理念をリハビリテーションの領域に展開するものです。リハビリテーションでは、心身機能や活動、参加といった要素に加え、環境因子や個人因子を含む多面的な視点から支援が行われます。この枠組みとプレシジョンの考え方は極めて親和性が高く、個々の対象に適した効果的な介入を可能にするものと考えられます。

 一方で、対象者の多様性を踏まえた適切な介入を導き出すためには、膨大な情報処理や学際的な知見の統合が不可欠です。医学・保健医療学のみならず、工学、経済学、行動科学、情報科学などの成果を取り入れ、実践的な根拠を積み重ねていく必要があります。

 本大会では、特別講演において行動経済学と工学の専門家から最先端の知見をご紹介いただき、リハビリテーションとの融合を探ります。さらに、シンポジウムでは小児、統合失調症、高齢者、視覚障害、認知症・せん妄といった多様な領域のリハビリテーションの実践を共有し、プレシジョン・リハビリテーションの可能性を議論いたします。また市民公開講座では、排尿障害に対するリハビリテーションを取り上げ、健康増進に資する具体的な実践をご紹介いたします。

 プレシジョン・リハビリテーションの実現には多くの課題が残されていますが、本大会がその未来を切り拓く第一歩となり、皆さまの専門性を深め、実践を進化させる契機となることを心より願っております。

 さらに、本大会ではお子様連れの参加者にも安心してご来場いただけるよう託児室を設置予定です。また、会場の「ウィリング横浜」は福祉施設であり、車椅子をご利用の方にもアクセスしやすいバリアフリー環境が整っております。これらの取り組みを通じて、子育て世代や多様な立場の皆さまにも、積極的にご参加いただける大会を目指しております

 会場のウィリング横浜(上大岡)は、京急・市営地下鉄の上大岡駅に直結し、横浜駅から電車で10分ほどにあります。羽田空港や新幹線の停車駅である品川駅、新横浜駅からも電車1本でお越しいただける大変利便性の高い場所に位置います。

 多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。